東京工業大学 坂村圭研究室 Tokyo Institute of Technology Sakamura laboratory

Project

研究室では、現在、下記のような研究・まちづくりプロジェクトを行っています。

Project 01

石川県白山市鶴来の地元事業者との一連のまちづくり活動(2019年~現在)

 2019年から、石川県白山市鶴来で、地域の若手事業者の方と共に、地域課題の解決、地域資源の有効活用、学生のまちづくりへの参加などを目的とした活動を行っています。これまでに、空き家改修、学生シェアハウス設立・運営、店舗スタートアップ支援、地域清掃活動、大学生のまちづくり活動支援などを行ってきました。2020年には、持続的な活動の継続のために「NPO法人Orizuru Project」も設立しています。研究室では、歴史的街並みが残る地区で、地域を活性化する活動に継続的に携わっていきたいと思っております。

プロジェクト1 石川県白山市鶴来の地元事業者との一連のまちづくり活動(2019年~現在)
プロジェクト2 石川県金沢市におけるまちづくり活動(2018年~現在)

Project 02

石川県金沢市におけるまちづくり活動(2018年~現在)

 石川県金沢市において、認定NPO法人趣都金澤、NPO法人金沢クリエイティブツーリズムなどの活動の一環として、多岐にわたるまちづくりの実践を行ってきております。これまでの主な取り組みとして、地域のお祭りの再興、まちづくりセミナー、まち歩きツアー、アートツアーの開発、アートイベントなどに携わっています。現在は、金沢市石引地区の「まちの記憶の継承」のための実践的な活動を企画しているところです。

リサーチ1 自然の多機能性を活用した都市問題の解決とその実践に向けた資源管理、主体形成、地域政策

Research 01

自然の多機能性を活用した都市問題の解決とその実践に向けた資源管理、主体形成、地域政策

 自然の多機能性を活用した防災や減災、都市内低未利用地の創造的な再生などは、NbS (Nature-based Solutions)と呼ばれ、国際的な注目を集めています。NbSの特徴の一つが、環境問題だけでなく、現代都市が抱える人口減少、地域経済の停滞、格差拡大などの諸課題の総合的な解決のために、「技術的解決策」と「社会的合意」を融合させた分野横断的アプローチを要求することです。
 研究室ではこれまでに、NbSの導入と実践知の獲得に向けて、地域の自然資源がもたらす生態系・社会への多機能性の評価と、それらを戦略的に資源管理に活かすためのコモンズ形成や地域計画の検討を重ねてきました。具体的には、石川県金沢市を中心とした都市と農村を貫く用水の自立的な管理に向けた研究、埼玉県見沼田んぼにおける都市住民と農家の現代的コモンズの成立過程と性質に関する研究、生物文化多様性の視点からの都市計画の検討などを行っています。
 今後の研究展望の一つが、分散型のグリーンインフラ導入により、市民が自らの手で都市インフラを形成していくための社会的技術を探求することです。資源管理、主体形成、地域政策といった様々な着目点からの研究を多分野研究者と積極的に協働して行い、自然資源の多機能性を用いた都市問題への分野横断的な解決に向けた実践知を獲得したいと考えています。

Research 02

オーセンティシティ概念をもととした地域らしさのマネジメントに関する研究

 地域の「ほんものさ」「らしさ」を指し示すオーセンティシティ概念を解明し、自然と文化の独自性を活かした都市づくりに活かすことを目的とした一連の研究を行っています。これまでに、オーセンティシティ概念を「客観的」「構築的」「個人的」の3つの側面から捉え、オーセンティシティの変化とゆらぎを考察することや、建築家へのインタビューをもとにミクロな視点からオーセンティシティの読み取りと反映の実態を調査してきました。また、地域らしさの継承の観点から歴史的建造物の跡地利用を考えるワークショップなども実験的に行っています。
 これらの研究は、都市のグローバル化や観光圧力を背景とした都市の均質化に抗い、都市の魅力を読み取り保全・創出する社会的意義の高い研究だと考えています。歴史的建造物の保全と更新という二項対立を超えた、地域文化・歴史の創造的な発展に求められる新たな知見の獲得を目標とした研究を進めたいと思っています。

リサーチ2 オーセンティシティ概念をもととした地域らしさのマネジメントに関する研究
リサーチ3 人生100年時代を見据えた新たなプランニング手法の解明

Research 03

人生100年時代を見据えた新たなプランニング手法の解明

 2020年から東京工業大学産学連携プログラム「人生100年時代の都市・インフラ学」に関わってきました。このプログラムは、人生100年時代の、人間の身体・精神・行動の変化に着目しながら、豊かな「出会い」「働き方」「住まい」「移動」「自然とのかかわり」「学び」を教員・実務家と共に議論するものです。
 今後の研究課題は、このプログラムから見出された論点を整理し、「ライフシフトを支える都市インフラ」に関わる個別課題を研究することです。また、人生100年時代という中長期的な都市ビジョンを、どのように現実の都市計画へと反映していくべきか、その道筋とプランニング手法を検討することも行っていきたいと思っております。